顧客ロイヤルティの目的は、「お客さまの喜びと働く人のしあわせを実現すること」です。
ここでは、働く人のしあわせに焦点を当てていきたいと思います。
企業は、株主や経営者がトップで舵を取っていますが、そこには働く人がいます。
その企業で働く人がいなければ、事業活動を進めることはできないです。
「働く人のしあわせ」は、企業の繁栄と継続を築きます。
主人公である働く人は、仕事の場で糧得て、成長し、人生を描きます。
企業と働く人が良い関係であることが、お互いのしあわせにつながります。
働く人を大切にしようという企業は、増えてきています。
従業員満足・エンゲージメント・インナーブランティング・愛社精神…
いろいろな言葉がありますが、働く人がイキイキと働くことは共通です。
「働く人のしあわせ」のあるべき姿について語っていきます。
働く人が幸せであることは、給与や待遇が良いことではなく、自身の仕事に意味を見出し、成長を実感しながら充実感を持って働けることだと考えます。
社内顧客とは、社内で一緒に仕事をする人を「お客さま」と認識しようという考え方です。
お客さまに価値を提供するという共通認識の下、お互いを「顧客」とすることで、互いの仕事の理解を深め、支援し合うことで、
良いパフォーマンスを提供することができます。
上司・部下・チームメンバー・仕事上つながる他部門の人たち等が対象です。
「お客さま」と考えると、互いを尊重する心持ちにもなります。
「もし、あなたが社内顧客を持たないと感じたのならば、テストがあります。
3週間仕事をさぼってみてください。怒ってくる人はいませんか? 怒ってくる人、その人があなたの社内顧客です」
怒ってくるとは少し言い過ぎかもしれませんが、心配してくれる人 あなたがいないと仕事上支障が生じる人ということでしょう。
この質問には続きがあります。「もし、怒ってくる人が誰もいなかったら、あなたは、そんなに必要な人ではないかもしれまん・・・」
カールアルプベスト
ここで重要なのは顧客ロイヤルティのキーワードである「”を”ではなくて”が”」です。
お客さまを満足させるのではなく、お客さまが満足しているかどうかという視点を持つことを言います。
社内顧客の場合は、自分の仕事が役に立っているか? 期待に応えているかを相手の視点で見ることです。
企業内で同じミッションに向かい仕事を分かち合っている場合、
この視点があることで、ベクトルに向かう力が強くなっていきます。
また、自分の仕事を他者の視点で見ることで、自身のつよみやよりスキルを身につけるところが見えてきます。
自分のキャリア形成のためにも必要な視点と考えます。
ウェルビーングという言葉を聴きますが、昨今は様々に場面で使われることがあり、
意味も用途も様々と感じています。
そこで日本語の「しあわせ」という言葉を使うことにしています。
仕事の場において幸せを感じる要素を次の5つのキーワードでまとめました。
これは、顧客ロイヤルティを社内に浸透したいという思いを持つ多くの企業と、
関わってきた私たちが最も必要と考える項目です。 カタカナ・英語で表すことが
多いので、あえて日本語にしています。
・使命 ミッション
・好き エンゲージメント
・熱意 モチベーション
・健康 ウェルビーング(メンタル・フィジカル・環境)
・仲間 リレーションシップ・コミュニケーション
以上について、これから説明をしていきます。
ミッションとは使命
組織のミッションは、働く人々にとっての羅針盤であり、日々の業務に意義をもたらします。自社のミッションを深く理解し、自分の役割がどのように組織全体やお客様に貢献しているかを認識することで、働く喜びが生まれます。
ミッションを知る
多くの企業はパーパス・ミッション・ビジョン・行動基準等を作成しています。
フィロソフィ・WAYなど企業により、その呼び方やターゲットは違いますが、ここでは、その企業に所属する人々に向けたものを「ミション」(企業が目指す方向や社会にもたらす価値)とします。
ミッションを明文化したものがミッションステートメントです。ミッションステートメントは、創ったところで終わりではなく、働く人が、日々仕事の中で価値を見出し、腹落ちしていることが重要です。
行動基準
ミッションを実現するために、自分たちはどのような行動をとるべきかを共有していきます。自分のキャリアを構築するために、また、やりがいを感じるために、指針を創ることが有効です。
顧客ロイヤルティ協会は、「働く人の幸せとお客様の喜びが実現できる組織を創ること」を使命としています。
仕事に対する「好き」という感情は、エンゲージメントの源泉です。エンゲージメントとは、社員が組織や業務に対して持つ情熱やコミットメントを指します。自分の仕事に誇りを持ち、組織の一員であることに満足感を感じることで、エンゲージメントは高まります。
「好き・エンゲージメント」には、次の三つがあります。
仕事へのエンゲージメント その仕事・関わる商品やサービスが好き
職場へのエンゲージメント 働く仲間・環境が好き
会社へのエンゲージメント Purpose・ 経営者・ 会社の事業が好き
これらを促進するためには、
1.自社の商品・サービスを社員一人一人が理解すること
2.社員一人ひとりの強みや興味を活かせる業務を遂行できること
3.キャリアパスが明確化であり、その仕事を遂行する意味を高い視座で見ることができること
4.定期的なフィードバック があり。自己成長を実感できること
などが環境が効果的です。
また、組織のビジョンや価値観を共有し、
社員が自分の役割と組織の目標との関連性を理解することで、
仕事への情熱が育まれます。
エンゲージメントの高い社員は、生産性が向上し、離職率の低下や顧客満足度の向上にも寄与します。
社員の熱意やモチベーションは、組織の成功に直結します。モチベーションを高めるためには、様々な要因があります。
・環境要因と言われる職場環境・給与・経営体制・福利厚生など
・意欲要因と言われる達成感・やりがい・貢献度など
単純に達成感ややりがいを目指す前に、職場環境や待遇、キャリアパスを整えておくことが大切です。
社員が自分の意見やアイデアを自由に表現できる環境があることは熱意を引き出す上で重要です。組織の目標やビジョンを明確にし、社員一人一人が自分の役割と組織の成功との関連性を理解することで、モチベーションの向上が期待できます。定期的な目標設定や評価、フィードバックを通じて、社員の努力を認識し、適切に報いることも大切です。
働く人がしあわせであることは、給与や待遇など条件面だけではなく、自身の仕事に意味を見出し、成長を実感しながら充実感を持って働けることだと考えます。その基本になることが、働く人自身の健康です。健康をフィジカルとメンタルの両面から考えてみます。
フィジカルでは、健康であることを、長期的視点でとらえて日々の取り組みをしっかりと行うことが必要です。
個人の問題としてとらえがちですが、法定健康診断の受診、禁煙の推進、残業時間・労働時間の管理など、企業で取り組むべきことも多くあります。企業の前向きな取り組みは、個人の運動習慣・食事など、健康への意識付けに繋がります。
メンタルでは、自身の不調への早期の気づきが大切です。まわりの気づきも重要です。
メンタルヘルスの窓口は、敷居が高いということもあるので、職場内の人間関係や悩みなど、ちょっとした気持ちを話して整理する場があることが望まれます。上司や直属部門内ではない方が良い場合もあります。EAPなど社外の独立した相談窓口や、社内ではキャリアコンサルティグなどが、話しを聴く場として機能するとよいでしょう。
経済産業省が推進している「健康経営」は、企業ごとの課題にフォーカスし、社員の健康維持を向上することを目的としています。働く人のしあわせにも欠かせない項目です。健康経営アドバイザーなどの活躍の場でもあります。
フィジカル・メンタルの両面で良好な状態を維持することで、パフォーマンス向上につながります。
職場での良好なリレーションシップと効果的なコミュニケーションは、社員の満足度やエンゲージメントに大きく影響します。チームメンバーとの信頼関係を築くことで、協力体制が強化され、業務の効率化や問題解決能力の向上が期待できます。
心理的安全性は、職場の中で、臆する事なく(物事に対して恐怖心を抱かずいる状態)、自分を発揮する事ができることを言います。「自分の意見を活かせる・ 失敗を恐れずチャレンジできる・ 仲間と支え合える」環境は、個人のパフォーマンスを最大化するのです。共通のミッションに向かって、助け合い・学びあう関係を築きましょう。
コミュニケーションが良い組織とは、みんながコミュニケーションについて良くしようと努力している組織です。
オープンで透明性のあるコミュニケーション文化を育むためには、定期的なミーティングや情報共有の場を設けることが効果的です。また、社員同士の交流を促進するイベントやワークショップの開催も、リレーションシップの強化につながります。定期的な面談など業務上のコミュニケーションに加えて、インフォーマルな関わりの場をあえて作ることも有効です。
ミッションを共有するためには、クレドカードの導入やワークショップなどの実施が有効です。これらによって共通の価値観を育むことができます。
そのほかに、
FIKAという、スエーデンのお茶の時間を模して、お茶やお菓子で対話する時間を創る。社内インフラに個人の趣味や個性を活かすレスをつくる。運動会やボーリング大会、バーベキュー、飲み会、社員旅行…様々な企画も、その企業ごとのアイデアで、企画する人、参加する人が、自由で楽しい!と感じるものであれば、社内コミュニケーションの活性化に役立つことでしょう。
顧客ロイヤルティ協会はワークショップなどを行ないこの活動を支援します。
(参考:ギャラップ社「Q12®を使って従業員エンゲージメントを測る」)
組織のミッションを作成するためのステップとポイントを解説します。
1.組織の現状と価値観の把握
まず、組織の現状や文化、価値観を深く理解することが重要です。
経営陣や社員からのヒアリング、アンケート、ワークショップなどを通じて、
組織が大切にしている価値観や強みを洗い出します。
これにより、組織の独自性や社会に提供できる価値を明確にすることができます。
2.社会的役割と提供価値の明確化
組織が社会や顧客に対してどのような価値を提供し、
どのような問題を解決するのかを検討します。
組織の存在意義を明確にすることで、ミッションの核となる部分が見えてきます。
この際、社員が感じている「やりがい」や「達成感」をヒアリングし、
それをミッションに反映させることも効果的です。
3.ミッションの策定
上記の情報を基に、組織のミッションを策定します。
ミッションはシンプルでわかりやすく、
組織の存在意義や目的を端的に表現することが求められます。
経営陣が中心となってミッションの骨子をまとめ、
その後、社員からの意見を取り入れることで、
全員が共感できるミッションを作成することができます。
4.ミッションの浸透と活用
策定したミッションを組織全体に浸透させるため、社内報やイントラネット、
掲示物などを活用して継続的に情報発信を行います。
また、ミッションに基づいた行動を促進するための研修プログラムやワークショップを実施し、
社員一人ひとりがミッションを日常業務で体現できるよう支援します。
さらに、ミッションに沿った行動や成果を上げた社員やチームを表彰する制度を設けることで、ミッションの定着と組織の一体感を高めることができます。
以上のステップを通じて、組織のミッションを効果的に策定・浸透させ、
社員のモチベーション向上や組織のパフォーマンス向上を目指しましょう。
社員が企業の価値観やビジョンを深く理解し、日常業務に反映させることで、
組織全体の一体感とパフォーマンスを向上させる取り組みです。
以下に、インナーブランディングを効果的に進めるためのステップと具体的な施策を紹介します。
1.調査とゴール設定
現状の組織文化や社員の意識を把握するための調査を実施します。
アンケートやインタビューを通じて、社員の価値観や課題を明らかにしましょう。
その上で、インナーブランディングの目的や達成したいゴールを明確に設定します。
これにより、具体的な方向性が定まり、効果的な施策の立案が可能となります。
2.プロジェクト立ち上げとコンセプト設計
インナーブランディングを推進するプロジェクトチームを編成します。
多様な部門からメンバーを選出し、組織全体の視点を取り入れることが重要です。
チーム内で企業のビジョンやミッションを再確認し、
それを基にブランドのコンセプトを設計します。
このコンセプトは、社員が共感しやすく、日常業務に取り入れやすいものであることが求められます。
3.コミュニケーション計画とビジョン浸透
設計したコンセプトを社員に浸透させるためのコミュニケーション計画を策定します。
社内報やイントラネット、掲示物などを活用し、継続的に情報を発信しましょう。
また、ビジョン浸透の一環として、社員研修、ワークショップやキックオフイベントなどを開催し、社員同士の意見交換や理解を深める場を提供します。
これにより、社員のエンゲージメントが高まり、組織全体でのビジョン共有が促進されます。
4.研修プログラムとクレドカードの活用
社員がブランドの価値観を日常業務で体現できるよう、研修プログラムを導入します。
具体的な行動指針を示したクレドカードを配布し、社員が常に参照できるようにしましょう。
これにより、社員の行動が統一され、組織全体の一貫性が高まります。
5.社内コミュニケーションとフィードバックの促進
オープンな社内コミュニケーションを促進し、
社員が意見やアイデアを自由に共有できる環境を整えます。
定期的なミーティングや社内SNSを活用し、双方向のコミュニケーションを推進しましょう。
また、MOTサイクルを取り入れ、継続的な改善とフィードバックの文化を醸成します。
これにより、社員のモチベーションが向上し、組織の柔軟性が高まります。
6.表彰制度と事例紹介
優れた取り組みや成果を上げた社員やチームを表彰する制度を設けます。
成功事例を社内で共有し、他の社員の参考とすることで、全体の士気を高めます。
例えば、社内でリトルタッチ®事例の共有や、ふわふわさん制度(お客さまからお褒めを頂いた社員を表彰する制度)などにより、良いことを取り上げる文化を創り出すことができます。
以上のステップを通じて、インナーブランディングを効果的に推進し、
社員のエンゲージメントと組織のパフォーマンス向上を目指しましょう。
顧客ロイヤルティ協会はこの活動を支援します。