顧客満足や顧客ロイヤルティを学ぶとき、必ず最初に出会う「法則」ですが、「日本の消費者対応を変えた!!苦情は宝物!!」という言葉を生み出しました。近年、再注目され様々な表現や理解で語られているため、お問い合わせを受けます。ここで、改めて顧客ロイヤルティ協会を設立した 佐藤知恭氏の提唱した『グットマンの法則』をご紹介します。
まずは法則の予備知識として
①『グッドマンの法則』と言う名前は佐藤知恭氏が名付けた。②『グッドマンの法則』は第一法則から第三法則まである。③再購入率の数値は、【グッドマンの第一法則】のグラフの数値のみである。
下のグラフを御覧下さい。 ピンクの棒が高額商品、青の棒が低額商品です。 高額商品と低額商品の分岐点は100ドルですから、日本での感覚では一万円以上を高額商品、200円から300円位を低額商品いうとらえ方でいいと思います。
この調査が行われた1980年頃、苦情申し立てしなかった人は96%、申立てしたのはたった4%でした。
100%との差異が大きい方が分りやすいのでピンクの棒の高額商品で説明します。
まず、グラフの‟申立てせず‟の高額商品をご覧ください。9%はとりあえず再購入してくれます。
しかし、91%は無言で去って再購入はしてくれません。
左側三項目が実際に苦情を申し立てた高額商品購入者4%の再購入率です。
迅速に解決(大変満足した人) 82%
解決に満足 54%
不満納得(解決に不満だが納得した人)19%
迅速に解決できた場合には、苦情を申立てなかった人(9%)の9倍の82%という再購入率なのです。苦情に対して、迅速に解決できればそのお客さまは“贔屓客”になってくださる可能性があるということです。 それに対して、解決に不満だがしょうがないから納得した人の再購入率はたったの19%しかありません。この不満納得のお客さまは批判者の温床となります。これは、次の第二法則で詳しくのべますが、企業のブランドを傷つけるのです。
【グッドマンの第一法則】により多くの人にVOICE of CUSTOMER(顧客の声)の重要性を認識させ、1990年代にコールセンターやお客様相談室が作られるきっかけとなったのです。
好意的な口コミは発信者から4人、5人にしか伝わらないが、非好意的な口コミはその倍、9人から10人に伝わるということです。20人以上に伝える人が、12.3%もいるのです。これは1980年頃の統計です。 現在ではインターネットの普及により、あっと言う間に何万人にも伝わってしまいます。 誰かに伝えたいという消費者行動はいつの時代も不変です。 因みに、2013年にグッドマンさんに過去30年近い研究の成果について話をしてもらいましたが、アナログベースのこの一番影響力の強い直接の口コミについては現在までほとんど変わらないとのことでした。
注釈:かなり前に法則が提唱されたので(企業の行う消費者教育)を時代の流れに合う「情報を提供する」に顧客ロイヤルティ協会が改訂しました。
それでは、法則に基づいての質問です。企業はお客様を満足させればよいのでしょうか? それとも、お客様が満足するようにすればよいのでしょうか?答えは「“を”ではなくて“が”」です。 お客様が求める情報を、的確に提供していくことで、お客様はその企業への信頼を増し、購買意欲の向上に繋がります。
最近、書店を歩いていると結構積んである本の山にちょっとしたポップをつけて店員さんのちょっとした感想、本の内容の解説などを展示してあるのを見かけます。 とてもいいですね。思わず手にとって見たくなります。お客さまの感想文などをINTERNETで募集し、店内に掲示するなどの活動も行われています。
21世紀の顧客ロイヤルティの方向性として「顧客はネットワークの一部である。お客さまと共に社会に新しい価値を創造する」ということがあげられます。 これは小さいけれどその一つの事例とし、よいと思います。
野菜売場などで、白菜の置いてあるところに、産地の情報や生産者の顔、または美味しそうな写真つきで簡単な調理法の書かれたレシピが掲示してあるのを見かけることもあります。夕飯の食材を探しているときなどは思わず白菜に手が伸びるのではないでしょうか。
『グッドマンの法則』が知られるようになったことで、日本の中にお客様を大切にするマネジメントが広がりました。多くの企業、そこで働く多くの方々の「お客様の対応の指針」となっていったのです。
お客様を敵と思わず、お客様との信頼関係と成長していくことが、「顧客ロイヤルティ企業」のあり方です。 どうぞ、これからも大いに活用してください。 多くの企業発展にお役に立つことができますようにと思います。
そこで、多くの方々に正しく『グッドマンの法則』をご理解いただくためのお願いです。
そこで少しお願いです。