U子のCS講座

「顧客が満足」するためのノウハウをU子がご紹介致します
今回私がご紹介する「顧客満足」が皆さんの仕事のなにかのヒントになれば幸いです。
「顧客が満足」はお客様の満足に留まらず、私たちサービス提供者にもシアワセをもたらしてくれる理論です。

U子について
某アパレル会社に勤務する「佐藤CS」の伝達者。
数年前に佐藤CSに出会い「お客様が大事」「給料はお客様からもらっている」
に「これか仕事の意味」と感じ、佐藤先生に師事する。
現在は社内への取り組みはもちろん、研究会企業や社外の悩めるCS迷子さんに向けて
発信中。基礎講座でお会いできますよ。


好きなもの  メロン
好きなタイプ 速水もこみち
持ち歌    「薔薇は美しく散る」
座右の銘   「なんとかなる」「正義は勝つ」

1. 私が創る顧客満足
 「顧客満足は、をではなくがである」顧客満足について覚えていただくのはこれだけです。 製造やサービスに携わる仕事をしている人は顧客満足という言葉をどこかで聞いたことある方やいま現在実行していることでしょう。

今回私がご紹介する「顧客が満足」が皆さんの仕事のなにかのヒントになれば幸いです。「顧客が満足」はお客様の満足に留まらず、私たちサービス提供者にもシアワセをもたらしてくれる理論です。

私は五年前に佐藤知恭先生に出会いました。
佐藤CS理論を学び、一緒に研究をする機会を得ました。
その間自分の会社にCSを広めるために様々なことを試みてきました。
その活動の中で感じたことは「CSは魔法の理論」だということです。

「顧客満足は、をではなくがである」これが魔法の言葉ということです。
では具体的に「をとが」とどうちがうのでしょう。
「を」は、「顧客を満足させる」。
「が」は「顧客が満足する」です。

なにが違うかというと、主語です。
「を」は、「企業やサービス提供者がお客を満足させる」です。
満足しているのはお客様ではなく企業やサービス提供者です。
お客様を満足させたと自分で満足しています。

その反対に「が」は、「お客様が満足しているかどうかを考える」あくまでお客様を主役とする考え方です。
満足しているのはお客様です。
また満足しているかどうか?を考えるのですからこの顧客満足には終わりがありません。

CSというとどんな活動を思い浮かべますか?
CSマニュアルを作って「お辞儀の角度は45度」
「挨拶はニコニコ笑顔」いろいろとあります。

CS活動をお客さまの目線で見直したことがありますか。
「効率が悪いから」
「社員の働き方に合わせて」
まさしくこちらの都合で仕事の仕組みを考えていませんか。

そうだとしたらきっと「がではなくを」「お客を満足させる」のほうです。
あなたの店に来るお客様、あなたの会社の商品をお買い求めになるお客様のことを考えたことがありますか。
お客様はどんなときにどんな気持ちでお買い物をされるのでしょうか・・・。
お客を満足させている会社とお客様の立場で考えている会社。
あなたがお客様だったらどちらの会社を選ぶでしょうか?

お客様はご自身の生活のためにいろいろな情報をお持ちです。
そして私達よりも私達のサービスに敏感です。
本当に「顧客が満足」する商品・サービスを提供しなければ、お客様は次回からは他社へ心変わりしてしまいます。

「をではなくが」お客様が満足しているかどうか。
お客様の視点で考えてみましょう。
2. 顧客満足はあたりまえ
お客様に満足していただくのは当然のことです。
お客様は、様々な選択肢の中から、お金を払って、その商品やサービスを買うのですから満足するのは当然です。
払ったお金とその商品やサービスの価値が一致しなければ、契約違反、契約不履行です。
お客様が満足することは、当然のことであり特別のことではありません。
会社やお店がいちいち「顧客満足」と大騒ぎするのはおかしいと思います。

  「当店は顧客満足を実施しています」といったら、お客様はどう思うでしょうか?
「きっと他よりサービスのよいお店なのだろう」
「顧客満足をスローガンにしているお店なのだからきっと特別のことをしてくれるだろう」
と期待が高まります。
その期待にこたえるサービスを提供することができれば問題はありません。

お客様は満足します。
そのお店やサービスが好きになります。
反対に、期待を損ねるサービスを提供することになったら、お客様はどう感じるでしょうか?
お客様の期待を高めておいて、その期待に満たないサービスしか提供できないとしたら、かえってお客様を裏切ることになります。
「なんだこんなものか」とがっかりした気持ちを感じるでしょう。
「お客様が抱く期待値≦実際の商品やサービスの価値」。
イコール以上の状態であること。

これが顧客満足の状態です。
特別なサービスを行う事が顧客満足活動ではありません。
お客様が自分の会社の商品やサービスにどのような期待を抱いているかをいつも考えおいて、その期待値を裏切らないことが顧客満足活動の基本です。

 顧客満足活動とは、その活動事体はお客様視点で行うことですが、その活動を宣伝するために行うものではありません。
あくまで会社やお店が、内部で自分たちの仕事を顧客の視点で見直すことが顧客満足活動=CS活動なのです。
顧客の視点で見直す事。
それは、
(1)お客様の期待を知ること
(2)自分がお客様だったらどう感じるかを考えること、です。

特別な宣伝したり高望みすることなく、今できる事から少しずつ高めて行けばよいのです。
その実践しているCS活動から、結果としてお客様が満足したとき、「このお店は顧客満足を実践している」と、お客様から評価をいただく事ができます。
その評価には評判だけでなく利益がついてくるのです。
そして、顧客満足活動は終る事がありません。
なぜならば、顧客の期待値はいつも上へ上へと変化していくからです。
3. あなたの給料は誰からもらっていますか
CS活動を推進するためには、「すべての仕事を顧客の視点で見なおすことが必要」であると前回までにお伝えしてきました。
それはなぜなのでしょうか?
 自分たちの商品やサービスを通してお客様に喜んでいただくこと。
お客様の喜ぶ笑顔はサービス提供者の喜びです。
そして企業は利益を得る。お客様・社員・会社、この3者がWIN・WIN・WINの関係であること。そのための活動がCS活動だからです。

会社が存在しているのには、理由があります。
伝えたいメッセージがあります。
企業理念や経営者の言葉や行動に示されることがあるでしょうが、社員の心の中にもきっとあるはずです。

自分の会社が提供する商品やサービスのすばらしさをお客様に届けたいという思いです。その商品やサービスが、お客様の支持をうけたとき、初めて会社は成り立ちます。
支持とはお客様がお金を払ってくださるということです。

売上や利益はお客様からの支持率とも言えます。
会社の毎日の仕事はお客様の支持を受けるために存在するのです。

あなたの給料は誰からもらっていますか…?。

会社からでも社長からでもありません。
答えは「お客様」です。
自分の会社の商品やサービスにお客様がお金を払って下さるから、給料が払われます。

実際にお客様と接する事がない部門の人でも給料はお客様が支払ったお金から払われているのです。
顧客サービスのCS活動はお客様の要望を聞くことを指していることが多く、サービス提供者が主に実行することでしたが、現場では「なんで私たちだけお客様の声を聴かないといけないの」「お客様のわがままに付き合うのがCS?」という疑問が涌いてきます。
サービス提供者だけがCS活動をしていると、こういう悲鳴が聞こえます。
顧客満足活動のCS活動は組織全体で行う事です。

組織全体が「お客様が満足する」ために仕事のやり方を変え、第一線のサービス提供者の仕事を支えて行くことが大原則です。
お客様が、自社の商品やサービスに満足をしてお金を払ってもらうことに社内の仕事のすべてが結びついているのです。
会社の営業・企画・物流・管理部門などサービス提供者以外のすべての人は、サービス提供者を支えることが仕事の目的と言えます。

自分の会社の大切な商品やサービスを手にしたお客様が喜ぶ顔を思い浮かべてください。
嬉しい気持・楽しい気持ちになりませんか?
すべての社員が顧客視点を持って仕事をすることで、自分の仕事の意味も明確になってきます。
顧客満足活動はお客様の満足だけでなく、すべての社員の満足につながっていくのです。
4. コアサービスとフリンジサービス
顧客満足と顧客サービス。英語にいえば、Customer Satisfaction とCustumer Sevicse。どちらもCSです。この2つについて私達は、次のように定義をします。

「顧客満足…商品・サービス、さらに提供者の理念など、提供者の提供するすべてについて顧客が自分自身の基準によって納得の得られるクォリティと価値を見いだすこと」「顧客サービス…顧客満足を最大限に拡大するために企業や組織が全部門の総力を結集して顧客のニーズを満たし、その期待に応えるために行なうすべての活動」(佐藤知恭1992年)。
いいかえれば、顧客満足は、企業が、お客様が満足するクォリティと価値を提供することであり、それに対し、顧客サービスは、顧客満足を実現するための手段あると考えられます。
顧客サービスなしに顧客満足は達成できないということができます。

顧客サービスを大別するとコアサービスとフリンジサービスに分けられます。
コアサービスとは、コア・ビジネス・サービスともいいますが、中心となるサービス、つまり顧客の求めるサービス本体のことを言います。

家具を例して説明すると、家具には機能があります。
その機能を果たすだけの目的であれば安価なものでよいでしょう。
椅子という商品ならば、座る機能があること、その素材や色・デザイン等のことです。
お客様はその商品の価値にお金を余計に払うのです。
つまり、機能性・附加価値含めて、商品としての価値そのものがコアサービスなのです。

コアサービスによってお客様の求める最低限のニーズは満たされます。
けれども、お客様は最低のニーズが満たされるだけでは満足しません。
そこでフリンジサービス(フリンジ・ヒューマン・サービス)が必要となるわけです。
フリンジとは周辺の意味で核を取り巻く周辺の部分の意味です。

ちょうど、ゆで卵の断面図を思い出してください。
中心の黄身の周りにふわふわの白身があります。
そんな感じです。
椅子と言う商品に関連して、お客様が、購入前・購入後を通じて、見聞き体験する経験すべてが「フリンジ・サービス」なのです。

「ヒューマン」とは、お客様とサービス提供者の人間的なふれあい関係です。
また、お客様が人間として感じるさまざまな感覚のことをいいます。
態度的なマュアルサービスを超えた、まさしく商品を取り巻く、店やサービス担当者から受ける印象そのもののことといえます。

コアサービスは、お客様にとってはあたりのまえのことです。
お客様はその商品の価値に対して納得したお金を払うからです。
その価値に問題があればお客様は、不満足を感じ、ひどければ被害者意識にもなります。

逆に、コアサービスの価値に納得しているお客様には、フリンジサービスによってさらなる満足、感動を与える事ができます。すなわち、商品・サービスがよい事は大前提の上で、「フリンジ・ヒューマン・サービス」を実施する事が、お客様の満足につながるのです。
5. 顧客満足の目的
江戸時代、日本のマーティティングの租と言われる三井高利の興した「越後屋」をご存じでしょうか。
この「越後屋」時代から受け継がれている[お客様第一]について記載されている「三越小僧読本」という書があります。

現在の百貨店の三越が創業以来伝承してきた商人道とそれを実践する店員の接客心得を10か条にまとめて少年養成の書としたもので、三越のサービスバイブルです。
その中に「お客様第一」についての記述があります。
「そもそもお客本位といふは、御客様大明神のことなり、御客様一大事なり、御客様の御無理を御道理とするにあるなり。」とあります。

「お客様は神様・お客様第一・お客様の言うことはなんでも聴く」と言っています。
また、冬の農閑期に都市を訪れ家々に薬を置き、翌年訪れた時にお代を頂く富山の薬売りという「先用後利」の商法があります。(現在もりっぱなビジネスモデルとして健在です)

「仏の利益(りやく)で病が治り、感謝とともに利益(りえき)を得る」というお客様のお役にたってはじめてお代を頂くというお客様第一の精神の商法です。
お客様との信頼関係を基礎として「売り手悦び買い手悦ぶ」(Win・Winの関係)を実現するというお客様第一主義は、400年来の日本伝統の経営理念なのです。

それに対して顧客満足は、経営戦略と言うことができます。
お客様第一主義という精神を具体的にどのように毎日の経営の中に落しこむかというシステムであり、究極の差別化戦略なのです。
会社が顧客満足活動を推進する目的は何でしょうか?

(1)新規客をとりこむため
(2)イメージ向上
(3)他社がやっているから…etc。

ひとつ忘れてはならない目的が「利益の追求」です。
お客様第一主義という理念だけでは、なかなか「利益」につながりません。
お客様第一主義という日本伝統の経営理念をベースに「利益」の視点を持ち数字での把握をしていくことが必要です。
顧客満足 の究極の目的は、ずばり「長期的な継続性のある利益の確保と維持」なのです。

「長期的な継続性のある利益の確保と維持」を実現している会社は、その安定感と成長性と利益分配が実現し、会社もお客様もステークホルダーもその中で働いている社員も悦びを感じます。
お客様第一主義の「売り手悦び買い手悦び」を越えてWin・Win・Win…の関係が実現するといえます。

そのためにはお客様第一主義を理念とし、利益の視点を持って顧客満足活動を戦略化して行く事が必要です。
次回からは、具体的な戦略についてお話しして行きたいと思います。
6. グッドマンの法則
佐藤知恭先生が考案したジョン・グッドマンの法則についてご紹介をします。
アメリカのジョン・グッドマン氏が、苦情処理と再購入決定率の相関関係を計量化した結果と口コミの波及効果の測定した結果を佐藤先生が法則としてまとめたものです。
変動の激しい現在では数値に変化がみられるものの、企業の消費者対応に大きな影響を与えたものといえます。
現在の企業がお客様相談室やコールセンターを設立するきっかけになったなどCS活動の基本となっている法則です。

グッドマンの第一法則

「不満を持った顧客のうち、苦情を申し立て、その解決に満足した顧客の該当商品・サービスの再購入決定率は、不満を持ちながら苦情を申し立てない顧客のそれに対して比較的高い」。

商品・サービスを購入したお客様が不満を感じた場合、会社やお店に申し立てをした場合と、申し立てをしなかった場合を比べてみると、申し立てをしなかったお客様の再購入率は、9%です。
残りの91%のお客様は、次回からは別の会社やお店で購入をしていると考えられます。

それに対して、申し立てを行なったお客様の中で、その解決が迅速でありお客様の満足につながった場合は、82%のお客様が再購入をしているというのです。
すなわち、お客様の苦情に速やかに対応し満足した結果が得られた場合は、そのお客様はリピーターになってくださるということを示しています。
さらに、苦情を申し立てた中で、結果的に満足したお客様は54%、不満納得のお客様でも19%が再購入をしています。

グッドマンの第二法則

「苦情処理に不満を抱いた顧客の非好意的な口コミの影響は、満足した顧客の好意的な口コミに比較して、二倍も強く影響を与える」
好意的な口コミは、4~5人に伝えるといいます。

それに対して、非好意的な口コミは、9人~10人に伝えるそうです。
さらに、20人以上に伝える人は12.3%いるといわれています。
お客様が抱いた印象のうち、「あのお店良い」「あの販売員さん感じがよかった」という情報より、「おの店感じ悪い・いい商品ない」とか「あの販売員さん最低」という情報は倍も伝わるということです。

今はインターネットもありますからあっという間に何万人に伝わると考えられます。
この二つの法則をまとめてみると、苦情を申し立てたお客様には、迅速に満足した解決策を提供できた場合は、そのお客様はリピーターとなり他の人に只で宣伝してくれます。

苦情を言わないお客様よりもずっと会社やお店に利益をもたらしてくれると考えられます。
また、お客様の苦情は会社やお店の足りない部分を教えてくれる事が多くあります。
また、不満でも納得した人は19%がリピーターになりますが、納得しない人の口コミは、その会社やお店の信用に大きく影響を及ぼすという事です。

お客様の声には真実があります。
社内や社員からは聞くことできない改善点やビジネスヒントがあります。
どんな声でも真摯に対応する姿勢が、「不満でも納得」につながりますし、不親切な対応は、会社やお店のブランドをどれだけ傷つけるかということを理解する必要があります。
苦情は宝物なのです。

苦情=クレーム処理などといわず、前向きにクレーム対応にあたることが、自分の会社やお店の成長につながると発想を変えてみてはどうでしょうか?

明日からは、お客様の苦情をチャンスと捉えて対応をしてみる事をお薦めします。
7. 顧客満足実現の具体的な戦略1 ~顧客ロイヤルティ~
顧客満足実現の具体的な戦略とは、一言で言えば「今のお客様を大切にする」ことです。
具体的には、
(1)顧客ロイヤルティ 
(2)顧客維持 
(3)お客離れゼロ 
(4)顧客の生涯価値。
これらを経営戦略に活かして行く事です。

 新しいお客様を獲得するためのマーケティング活動に、会社は多額のお金と労力をかけます。
TVコマーシャル・チラシ・初回購入割引などに力を注ぎます。
それよりも、今いるお客様を大切にして、リピーターになってもらったらどうでしょうか?
また、ファンになってお客様を紹介してもらってはどうでしょうか?

今のお客様を大切にする費用は、新規客を獲得する費用よりずっと少なくて済みます。
 お客様に、「家具を買うなら○○で」「販売員の○○さんから買いたい」と思っていただくことは、お店やサーピス提供者とっては大きな喜びです。

さらに一歩進んで、「家具は○○でないと買わない」「○○さんの勧める物ならなんでも買う」というお客様はどうでしょう。
こんなに素敵なお客様なら友人や家族のように感じますね。
これを「顧客ロイヤルティ」といいます。

ロイヤルティとはぞっこんの状態を指します。
「~でないとイヤだ」という感覚です。
そしてロイヤルティの高いお客様をロイヤルカスタマーと呼びます。
このロイヤルカスタマーは他のお客様に比べて再購入率が大変高いのも特徴です。

別の言い方では、「ロイヤルカスタマー」=「贔屓客」といいます。
これからは、贔屓客と呼びます。贔屓客になると,3つの特徴があります。

一つ目は「なんでも買ってくれる」その店やサービス提供者が勧める物ならなんでも買ってくれます。

二つ目は「お客様をつれてきてくれる」友達や知り合いに宣伝をしてくれます。

三つ目は「大抵のことは許してくれる」なにか問題があったときも寛大に対応してくれるのです。まさに共同経営者のように会社や店のことを考えてくれるお客様です。

では、どのようなお客様が贔屓客になってくれるのでしょうか?
贔屓客は、会社とお店とサーピス提供者のそれぞれにできます。
会社の贔屓客は、その会社が提供する商品その物の価値と会社のプランド政策に大きく関係があります。
お店の贔屓客ならその店の提供するサービスの水準やマネージメントによります。

サービス提供者の場合はその人の魅力やホスピタリティによるのです。
お客様が、その店やサービス提供者のサービスに大変満足とき、または期待を越えたサービスを経験した時に贔屓客になるのです。
この贔屓客をいかに育てるかが、顧客ロイヤルティ協会のメンバーが研究しているテーマです。

わかりやすくCS(顧客満足)と表現していますが、CL(顧客ロイヤルティ)推進が私達の方向性です。
贔屓客とは、満足を超えて大変満足したお客様の中から生まれるということが重要です。
私達の師である佐藤知恭先生のホームページの表紙は「くたばれCS」です。

いままでのCSを越えたCLにより会社とお客様の距離はぐっと近くなります。
あなたの会社のお客様はだれですか?

めざせ!!顧客ロイヤルティ企業です。
8. 顧客満足実現の具体的な戦略2 ~顧客維持・お客離れゼロ~
顧客満足実現の具体的な戦略のひとつは、ずばり「今のお客様を大切にする」ことです。

 ある化粧品会社のデータでは、お客様は毎年20%減りつづけるといわれています。極端な計算をすると5年でお客様はゼロになってしまいます。減ったお客様の分だけ、毎年新しいお客様を獲得しつづけていれば前年と同じ売上高がみこめます。

  けれども中味を考えてみると5年前とお客様の顔ぶれは変化しているのです。その会社の商品サービスが大好で何度も購入してくれるお客様の声は聞かず、「知らんぷり」をしていたら、そのお客様たちさえもだんだんと減って行きます。

  新規加入の時だけプレゼントをくれるキャンペーンを「どうして毎日使っている私にはなにもくれないのかしら?」と感じたことはありませんか?そのような不満を感じたお客様が何かのきっかけで他社に乗りかえる可能性は大きいのです。

  今お金を払ってくださるお客様を大切にし維持することで、お客様は本当にその商品やサービスを購入し続けていて良かったと感じます。そうすれば、他社に乗りかえない・新しいお客様をつれてきてくれるというロイヤルカスタマーに一歩近づきます。これが「顧客維持・お客離れゼロ」です。

 お客様が、他社に乗りかえてしまう理由は、商品の不満・競合の影響。友人の影響・転居など様々ですが、その7割近くは「顧客への無関心」なのです。その会社やお店が、お客様へ無関心であるとお客様は他社に心を奪われてしまいます。

  ある店での調査の結果があります。店員さんに「お客様に挨拶をしていますか」と聞いたところ、100%の店員さんが「挨拶をしている」と答えました。その店に来店するお客様に「当店の社員はお客様に挨拶をしていますか」と聞いたところ、「挨拶をされている」と答えたお客様は、たった25%だったそうです。

  店員さんは「挨拶をしている」と答えましたが、1/4のお客様にしかその届いていないという事です。店員さんが考える「挨拶」とは、「いらっしゃいませ・ありがとうございました」と声をお掛けする事なのでしょう。しかし、お客様の考える挨拶は、もっと心に届くメッセージだったのではないでしょうか?

  ここでも「を」ではなく「が」です。マニュアルどおりに挨拶しても「お客様がちゃんと受け取れる挨拶」でないと伝わらないということです。この店でお客様に伝わる挨拶を実施したところ、売上が三割アップしたと聞いています。

  「顧客への無関心」はお客様を遠ざけます。逆に相手に伝わる挨拶・相手に伝わるサービスをすれば。客離れを阻止することができるのです。挨拶以外にも、サンキューレター・季節のお便りなどリピーターのお客様に関心を寄せるちょっとした心遣いでお客様は、また寄ってみよう・買ってみようと思ってくれます。

  今いるお客様に目をむけて、お客様の喜ぶサービスを提供すると、そこから新たな信頼関係がスタートするのです。
9. 顧客満足実現の具体的な戦略3 ~顧客の生涯価値~
お客様は、一生の内ににどのくらい家具をお求めになるのでしょうか。一度考えてみてください。

  顧客の生涯価値とは、お客様をその時だけのお客様として考えずに、そのお客様が一生に内にお買物をする回数・金額を考え、自分の会社や店で購入してくれるという価値を認識する事です。

  目の前のお客様は「今日の売上のためのおサイフ」と考えるのではなく、次回も、その次も生涯買い続けてくれるお客様になっていただくことを考えて行く事です。

  例えば、自動車だったら免許を取得したてで買ったコンパクトカーからスタートして一生涯に約2500万円・スーパーだったら毎日の平均購買価格と回数から約3600万円というデータがあります。

  結婚してある店で家具を揃えた家族があるとします。その家族に子供ができたとき、子供の学習机、ベッドなどが必要になります。前より広い家に引っ越したとき、新しい家具が欲しくなります。ひとつの家族は、家具にいったいどのくらいの金額を費やすでしょうか?

  最初に買ったお店のサービスが素晴らしくとても満足したお買物を経験したら、次の機会もその店での購入を検討するでしょう。逆にサービスが悪かった・すぐに壊れた・アフターサービスが無かった、などの経験をすると「つぎは他社へ」と移ってしまいます。そうすると、その店ではその家族が一生の内に家具を購入してくれるはずの売上が途中で消滅してしまいます。

  家具は家族にとって大きな買物であり、毎日使う愛着の生まれる商品です。子供のころ、家具店でダイニングのテーブルを両親が悩んで選んだことや、そのテーブルをはさんだ会話や想い出など、家族の家具への愛着は、子供が育って独立した時の家具選びにも影響します。家具は、世代を超えた価値を提供できる素晴らしい商品なのです。

  以前、ジョングッドマンの法則について説明をしましたが、悪いクチコミは良いクチコミよりも二倍も大きく広がります。クチコミだけでなく、イヤな想い出というのは、お客様の心に残ってなかなか消えないものなのです。

  ですから、顧客視点に立って質の高いサービスを行う必要があるのです。今商品を購入しようとしているお客様に、最高のサービスと商品を提供して満足して頂けたら、つぎの機会の購入にもつながるということです。

  また世代を超えたお客様にもつながるのです。お友達を連れてきてくれるかも知れません。そんなにすぐに再購入はして頂けないかも知れませんが、お客様の良い記憶はブランドとしてお客様の心の中に残ります。めぐりめぐって同じ系列店のお店での購入につながることもあります。

  会社は一店舗の利益だけではなく、会社全体のブランド戦略として「顧客の生涯価値」を考える必要があります。客離れ・顧客維持とともに、「目の前のお客様を大切にする」ことが、顧客満足を超えた顧客ロイヤルティの必須条件です。
10. お客様との関係
会社や店とお客様とを関係性で分けてみると、次のようになります。

潜在客→見込み客→お客→顧客→得意客→贔屓客。

商品に満足してお買い上げ頂いた段階で「お客」です。その商品やサービスに「大変満足」をすると「顧客」になります。「感動」をおぼえると「得意客」になります。

そのお客様が、(1)大変満足してくださる (2)再購入してくださる (3)他に推奨してくださるという三つの要素が全部そろうと「贔屓客」になります。「贔屓客」になれば「共同経営者」の気持ちで接してくれます。「共同経営者」ですから、お客様は自分のことのように心配したり喜んだりしてくれるココロモチを感じてくださるのです。

この「贔屓客」については<その7>でも説明したので省略します。では、どうしたらこの「贔屓客」を創ることができるでしょうか?それは、お客様の期待を上回るサービスを提供し感動を味わってもらうことです。そのためには徹底的にお客様の視点に立つ必要があります。

お客様はなにを求めているでしょうか?ダイニングセット・ベット・机・・・。お客様はその商品の価値を求めているのです。ダイニングセットを購入するだけではなく、ダイニングで過ごす時間を求めているのです。お客様に寄り添ってその商品を使用する環境をご一緒に考えて差し上げてはどうでしょうか?

お客様を自分の兄弟や姉妹と感じて接客してみるのはどうでしょうか? あなたの会社はなにを販売していますかと聞かれたとき、「家具を売っています」ではなくて「お客様のライフスタイルのお手伝い」ですと答えたいですね。そして、お客様に感動を与えることができるのは、サービス提供者一人一人の接客にほかなりません。

「潜在客」「見込み客」も見逃すことはできません。最近は、インターネットやTV通販もありますし、お客様は情報をたくさんお持ちです。また、高額な商品であれば、いくつかのお店を回って下見をしていることもあります。

多くの情報の中から欲しい商品を決定するときに、その決定に大きく影響するのが、販売員の接客です。感じのよいことはもちろんですが、お客様の目線でお客様の必要としている情報をいかに提供できるかがポイントとなります。同じ商品だったら、親切な店員さんのところで買いたいと思わせる接客です。

購入してくれる目の前のお客様だけを大切にしているだけでなく、下見のお客様も購入につながる大切なお客様なのです。また、「潜在客」は、まだ商品を買うことはないお客様のことです。女性の商品であれば男性も「潜在客」です。

たとえば、宅配便の方やご近所の方のように今はその商品を必要としていないけれど、将来、その人が必要としたときに、自分の会社や店を選んで頂くためには、普段からの対応が大切です。宅配業者の方がその会社に行ってイヤな対応をされたら、きっと違うところで購入するでしょう。

いつも愛想がよく感じのよい対応をしていたら、「あの会社・店の人は感じがいいからあそこで買おう」となるかもしれません。自分の会社を取り巻く人はすべてお客様なのです。
11. Moment of Truth=MOT
お客様はその会社や店に接するさまざまな場面で、その印象を決めていきます。その瞬間が「Moment of Truth=MOT」です。

決定的瞬間とも訳されているお客様と会社・お店との真剣勝負の瞬間です。顧客と向き合う接点のことですが、これは直接顧客と向き合う場面ばかりではありません。

電話・ホームページ・広告も大切な顧客接点です。お客様はこちらが意識していない場面でも、(潜在顧客を含めて)いろいろな印象を持つのです。

佐藤知恭先生は次のように定義されています。「顧客が(潜在顧客を含めて)が企業・組織と接するあらゆる場面・局面で抱く個人的感情に左右される直感的な印象」。言葉や数字では表すことのできないお客様の直感よって、私たちの会社やお店の印象が創られているのです。

新しいテーブルが必要になったお客様が来店される場面を想像してください。
(1)チラシやホームページなど見てお目当ての商品があるかを探す 
(2)お店に問い合わせてみる(店の人と話す) 
(3)車を運転して駐車場に入る 
(4)店内に入り売り出しのポスターを見る 
(5)欲しいものの売場を探す(店員をさがす) 
(6)お目当ての売場で商品をみる 
(7)販売員の説明を聞き、商品を検討する(店の人と話す) 
(8)購入を決めて支払いの手続きをする(店の人と話す) 
(9)担当者から支払い方法について説明を受ける(店の人と話す) 
(10)買った商品を車に運ぶ
(11)車に積んで駐車場をでる。

この一連の取引の過程を「MOTサイクル」と呼びます。 
お客様が商品の購入を決めるまでに、どのくらいのMOTが存在するでしょうか。お客様がその店に「興味を持ち→購入を考え→購入を決定し→その商品を使用する」間、お客様はお店・何人もの従業員と接触しています。それがひとつのサイクルを創り出しているのです。

「MOTサイクル」の特徴として次のことが言えます。「そのサイクルのどこか一箇所でサービス提供者が不適切な対応をすると、これまでに抱いていたお客様のよい印象はすべて帳消しになってしまう。

けれども、もし適切な対応をすればお客様がそれまでに抱いていた悪い印象をすべて取り消すチャンスにもなる」。ホームページやチラシはお客様にわかりやすく創られているでしょうか?

お客様がご来店しやすい環境は整っていますか?お店に入ったら元気なあいさつが聞こえてきますか?アフターケアは万全ですか?お客様の目指す商品へのご案内は的確ですか?販売員はお客様のお買い物をサポートしていますか?ご購入の際のご説明は簡潔ですか?大きなお荷物は駐車場までお運びしていますか?お見送りの際に心からありがとうございましたとあいさつをしていますか? お店にいらしたお客様が気持ちよくお買い物ができるように店内全員でサポートしていますか?

お客様の心に良い印象が刻まれたら、きっと次も来店してくださいます。また、お友達にも勧めてくださいます。 お客様の感動は、サービス提供者一人一人の接客から生まれるものです。そのサービスが「MOTサイクル」のすべてで提供されたら、お客様は満足以上に感動を感じてくださいます。自分のお店の「MOTサイクル」を作成してみるとお客様がどのような視点で来店するかを知ることができます。
12. 顧客は2番目
前回までに、顧客満足とはお客様を満足させるのではなく、お客様が満足しているかどうかを考えること、目の前にいるお客様以外のお客様(潜在客・見込み客)も大切にすること、Moment of Truth=MOT(決定的瞬間)など、お客様との信頼関係の重要性を述べてきました。

きっと「お客様」が会社やお店にとってどんなに大切かを理解していただいたと思います。

けれども、ここからは「顧客は2番目」です。顧客ロイヤルティ経営を目指すためには「顧客は2番目」なのです。会社が継続していくためには「顧客」がなくては始まりません。CSの基本を理解している人なら「だれから給料をもらっているのですか」の問いには「お客様」と答えるでしょう。その「お客様」に満足を提供するためには、お客様を大切に思う従業員が無くてはなりません。

顧客満足の目的である長期的かつ継続的な利益の確保を実現するためには、お客様の視点でサービスを提供できる従業員が必要なのです。お客様との接点(MOT)はすべて従業員です。お客様との信頼関係を築くのは他でもなく「人」なのです。

どんなにすばらしいシステムやサービスマニュアルを作成してもそれを実行するのは「人」です。そして「人」は心で動くのです。仕事をイヤイヤやっていたらその気分はお客様に伝わります。従業員が楽しく仕事をしていたらお客様もうれしいはずです。

真のサービスを目指すならば、顧客満足の前に従業員満足(ES)を考えるべき、これが「顧客は2番目」です。従業員がイキイキと仕事に打ち込める環境を創ることが、お客様の満足につながるのです。

ハーズバーグという学者はモチベーションの要因を2つに分けました。環境要因と意欲要因です。環境要因は、給与・職場環境・人間関係などを指し、これらは整っていると当然ですが失われると不満足に感じます。意欲要因とは、承認・目標・仕事の達成感などのことで、働く意欲=モチベーションを高めるといわれています。

「従業員満足」というと、給与額や福利厚生などにまず目が行きがちです。もちろん給与も福利厚生も大切な環境要因ですから整備することは必要です。その上に、意欲要因がプラスされると、日々の単なる作業・仕事は「意味のある仕事」になるのです。

私たちはその意欲要因にもうひとつ加えたいと思います。それは「お客様の笑顔」です。お客様が喜んでくださるとサービス提供者はうれしいのです。お客様からいただいた「ありがとう」の言葉を喜ばない人はいないと思います。お客様の声が苦情ばかりではやる気もなくなります。お客様の「ありがとう」がサービス提供者に届く仕組みをつくることも大切です。

お客様の感謝の声やお互いのすばらしいサービスをスタッフ同士で認め合い・分かち合うことができたら最高のやりがいを感じることができます。自分が心から楽しいと思える仕事をしてお客様が喜んで下さったら、どんなにうれしいことでしょうか。

接客を英語にするとエンターテーメントです。接客とは本来お客様を喜ばすことなのかもしれのせん。サービス提供者が心から楽しんで仕事をするために、「顧客は2番目」。従業員を大切にする企業が顧客ロイヤルティを実現していくのです。
13. エンパワーメント
お客様を満足させるのではないお客様が満足しているかどうかを考える「を」ではなく「が」を実践するためには、お客様を大切に思う従業員が無くてはなりません。

お客様との接点(Moment of Truth=MOT)には、さまざまなことが起こります。マニュアルに書いてないこともおきてくるわけです。そのとき、サービス提供者がどう対応するかが、お客様満足の基本になります。

エンパワーメント(Empowerment)の意味は「権限付与」です。一定の枠の中で自主的に判断して責任をもって業務を行うことです。従来型のピラミット組織では、管理監督者の権限の中、階層組織で業務を行っていました。サービスの現場では、サービス提供者が自らの責任と判断で行うことが必要です。いちいち上司の判断を仰いでいたら顧客の感動どころか顧客へ満足さえも提供できません。

たとえば、お客様からの相談を受けたサービス提供者が、「上司に確認します・本社に確認します」とお客様をお待たせしたら、お客様はどう感じるでしょうか。その先の担当者がまたその上の上司に確認をしていては、お客様をお待たせするばかりです。

これは会社やお店の都合であってお客様に向いた組織とは言いがたいと感じます。お客様をお待たせしない的確なサービスを提供するからこそお客様は満足してくださいます。また期待を超えたサービスを提供することでお客様は感動を感じてくださいます。

顧客のためならライバル店を紹介する米国の百貨店が「ノードストローム」です。ノードストロームウエイという本には「絶対にノーといわない百貨店」という副題がついています。お客様の立場で一番よいと思われるサービスを提供するためには時として、サービス提供者が自分で判断することが必要なのです。

お客さまに最高のサービスを提供するためには、組織もフラットである必要があります。サッカーのように一人一人が役割に合わせた能力を持ち、チームとして目標に向かうことができる組織が必要なのです。そのためには、一人一人がお客様のためになにができるかを考えることができること、そして実行することができる組織づくりが大切なのです。

もちろんお客様のためならば何をしてよいのではありません。共通の目的を理解していることが前提となります。この前提については次回「ミッションステートメント」で詳しく記載します。

エンパワーメントを実現するために大切なことは、次の3つです。

(1)すべての人と情報を共有すること。社内コミュニケーションを円滑にし、よい情報も悪い情報も分かち合うことです。
(2)会社や店の目標を理解した上で、お客様のためなら何でもやる・何でもできる社内システムを構築すること。
(3)信頼関係を保つこと。

お客様が満足するサービスは、サービス提供者とお客様との間の信頼関係が基本です。「お客様はわがままで勝手なことをいうもの」という顧客性悪説に立っているとしたら信頼関係は築くことはできません。また、会社が「社員はサボルものだ」という意識でいたら従業員と会社の間に信頼関係は生まれません。信頼関係とはお客様と社員と会社の良好な関係のことです。お客様と社員を信じることが大切ということです。信頼関係をベースの上にお客様の期待を超えたサービスを提供することは、贔屓客づくりにつながっていきます。
14. ミッションステートメント
ミッションステートメントとは、企業行動の約束、その具体的な指針のことをいいます。
身近に社訓やモットーが壁に貼られている会社もあるでしょう。朝礼で唱和しているところもあるかもしれません。
その社訓やモットーは仕事に活かされているでしょうか?
ミッションステートメントは、「絵に描いた餅」ではなく、実行していくことが前提です。
社員にとってのミッションステートメントは、仕事をしていく上での行動指針であり、実現が可能であることが必要です。
お客様やステークホルダーにとってはその企業の存在目的の簡潔な表明であり、誰にでも理解できるものでなくてはなりません。

社員にとってのミッションステートメントは、お客様へサービスを提供しようとして迷いが生じたときに意思決定をするための「よりどころ」となるものです。
たとえば、ミッションステートメントに「最高の商品を適正価格で生涯にわたってお客様の満足を実現する」とあれば、販売のサービスだけでなく、返品・アフターケア・下取りなどとそのミッションステートメントに則った行動を企業として実現していきます。お客様へのサービスで迷うことがあればミッシヨンステートメントに立ち戻り、そのサービスが必要かどうかを考え最善の行動を実行します。

企業が一番大切にしていることが書かれてあり、社員がその信念に共感し実行できることであることが重要です。
顧客ロイヤルティ企業とは、お客様に対して自らの社会的役割を約束し、それを忠実に実行していくという、実に時間のかかる地道な活動をおこなう企業であると私は考えています。

「顧客ロイヤルティ」を目指すとき、ミッションステートメントは、必須条件といえるでしょう。背伸びをした内容や美しい理想を掲げるのではなく、今目指していることを明文化することが重要だと考えます。
ミッションステートメントは、企業に一つだけでなく、組織ごとに、部門やお店ごとやチームごとなど、または個人にそれぞれあってもよいでしょう。それだけ約束と行動が明確になります。社員やその組織を構成する人たちが、会社の経営方針やビジョンを実行するためのミッションステートメントを自分たちで創り上げることが理想です。では、実際にミッションステートメントを作成するときには次の質問についてかんがえみるとよいでしょう。

①あなたの会社や組織・部・チームまたはあなた自身が存在している理由は何ですか。
②顧客はだれですか。(社内顧客も含めて)
③その顧客が求めている価値はなんですか。
④その価値に答えるビジネス(仕事)はなんですか。

企業活動の中心は顧客であることを意識して作成してみましょう。そして出来上がったミッションステートメントは、すべての人が理解し共有することが不可欠です。ミッションステートメントに沿った毎日の仕事を朝礼やミーティングで具体的な事例として共有して社内の共通言語として活きたものにしていく努力も必要です。
15. すべては顧客のために
二人の石切工の話。ある街のはずれの石切り場で二人の石切工が働いていました。
通りかかった旅人がたずねました。「君はなにをしているの?」一人の石切工が答えました。「私は石を切り出しています。朝から晩まで同じサイズの石を切り出しているのです。イヤになってしまいます」もう一人の石切工にも同じようにたずねました。そうすると次のように答えました。「私は街の中心にできる大きな聖堂を創っているのです。私が切り出した石が新しい聖堂になるのです。そこで結婚式や洗礼式が行われるのです。すばらしいと思いませんか」。

仕事は意味を知ることで価値が生まれます。
ただの作業が意味のある仕事になったとき、人は「やりがい」を感じます。仕事に大きい・小さいはありません。一つ一つの仕事を丁寧にココロを込めておこなえば大きな成果に結びつくものなのだと私は考えます。
お客様へのサービスも同じです。ある一瞬のサービスが心に届いても確かにお客様は喜んでくださいます。それが日常に行われていくことで、そのサービスが価値になり、店やサービス提供者のブランドになっていくのです。「あの店はなんだか感じいい。信用できる。またここで買いたい。」となるわけです。

だれでも自分の仕事に意味があると感じることができたら、とても嬉しいものです。サービス提供者が自分の仕事に価値を感じ、「最高のおもてなしがいつでも提供できる」を実現するためには、なにより本人の高いココロザシが必要です。また、同様な高いココロザシで働いている仲間がいることも大切な要素です。「私の仕事」が会社の中でどんな役割を担っていて誰の役に立っているのかをいつも感じていることが重要なのです。
商品を創る人・仕入れる人・販売する人・アフターケアをする人・経理や総務など管理の仕事をする人、すべての社員が自分の仕事はなんのためにあるのかを意識できることが大切です。
そして頂点には「お客様」があります。
お客様が商品を買ってくださるから企業は成り立っています。給料がもらえるのです。
あなたのお店の商品は誰のためにありますか?
その商品を気に入って買ってくださるお客様を想像してみてください。そして自分の仕事はそのお客様のためにあることをもう一度思い出してください。
経理や人事・総務など会社の管理部門の人たちは、直接お客様のために仕事をする人たちをお客様と考えてサービスをしましょう。これを「社内顧客」といいます。
サービス提供者は営業のお客様。営業はものづくり・仕入れ担当のお客様。そして営業やものづくり・仕入れ担当は管理担当者のお客様。そして社員全員が経営者のお客様です。
すべてはお客様のために仕事を行っているのです。

顧客視点を持ってモチベーションを高く維持している社員は会社の宝物です。こうした社員を育成するためには次の要素が必要不可欠です。

①その人が何のために仕事をしているかを明確にすること。(具体的な使命を明確にする)
②その仕事を行うために必要な情報供給や教育を行うこと。
③その人がもっとも得意なことを実践できる環境を整えること。
④その人の仕事の成果について承認し社員同士が喜び合う環境があること。

これが出来れば、今いるあなたの会社は大聖堂を創る石切工と同じキモチで仕事に取り組んでくれる人々が集まった素晴らしい組織になるでしょう。
16. 顧客ロイヤルティを生むもの
「顧客ロイヤルティを生むもの」について考えてみたいと思います。
「顧客ロイヤルティ」とは、お客様がぞっこんの状態のことを言います。この会社から買いたい・このお店から買いたい・この人から買いたいと顧客に思ってもらうことです。
お客様をそんな心理状態にするためにはどうしたらよいのでしょうか?
一言でいえばお客様との信頼関係を築くことです。態度としてはサービスではなくホスピタリティの心を持って接することだと思います。
サービスが「お客様の役に立つことを一方的に提供すること」だとすると、ホスピタリティは、「サービスを通じてお客様と“感動”を分かち合うこと」なのです。
“感動”とは「期待以上の事をしてくれた(大変満足)」と感じたとき生まれます。たとえば、すばらしい接客をしてくれたとき、十分に納得してよいお買い物ができたとき、無理かとおもって頼んだことを実現してくれたときなどです。それには、お客様のキモチを推測してのさりげない心配りが必要なのです。そして“感動”を感じたお客様とは信頼関係を築くことができるのです。

あるフォーマルウェアの売場の話です。
息子さんの結婚式に参列するというお母様がフォーマルウェアを探しにいらっしゃいました。販売員が「おめでとうこざいます」と告げるとどこか淋しそうな表情を浮かべていました。息子さんの結婚は嬉しいことだけれど、永年一緒に暮らしてきた息子が家をでてしまうことにどこか淋しさを感じていらっしゃるようでした。しばらくお客様の話に耳を傾けているとお客様の目から涙があふれてきました。販売員は椅子をすすめてしばらくそばに寄り添いました。そのうちに落ち着かれたところで、「せっかくのおめでたい結婚式をたのしみましょう」とお声をかけて結婚式の日の衣装をいっしょに選びました。
後日、本社にお客様からお礼のお電話をいただいきました。お話しを伺うとお客様は選んだフォーマルウェアを着て結婚式に参列したところ、大変皆さんに誉められたそうです。すばらしい結婚式だったと当日のお写真とお礼を持って店を訪れたのですが、販売員は、お礼は「当然のことをしたまで」と受け取らなかったそうです。でも、お客様の写真だけは受け取ってくださいました、とのことでした。大変感謝していることを本社からも販売員さんに伝えてくださいとのご伝言で、本当に“感動”されたお気持ちが伝わってきました。

相手のキモチになってどうしたら満足してくれるだろうと考えること、「喜ぶ者とともによろこび悲しむ者とともに泣く」これがホスピタリティの原点です。

満足なしには感動は生まれません。
感動を生み出さなければ信頼関係は生まれず、顧客ロイヤルティは生まれないのです。
「顧客ロイヤルティ」は日々のお客様との信頼関係が生み出す結果なのです。そしてロイヤルティが生まれなければ贔屓客は生まれません。贔屓客が生まれなければ、長期的かつ継続的な利益はうまれないのです。

贔屓客とは、
①再購入率がたかい
②お客様を連れてきてくれる
③利益に貢献してくれるお客様のことを言います。

利益がうまれないと企業は生き残ることができません。
「顧客ロイヤルティ」にこだわりつづける企業だけが生き残ることができるといえます。
17. 私が創る顧客満足 その2
「私が創る顧客満足」というテーマで17回目を迎えました。
私の師匠である佐藤知恭先生の著書は「あなたが創る顧客満足」です。
私はその本を読んで自分の会社にCSを根付かせるにはどうしたらよいかが考えてきました。そして社内にCSを浸透させるために悪戦苦闘してきました。とても楽しい戦いでしたが・・・。
そして今でも継続中です。
今回は、私が実際に行ってきたことを少し紹介します。

私は人事部に所属していましたので、まずはES(従業員満足UP)からスタートしました。
ESというと給与額や休みや福利厚生の充実に関心が行きます。 それもとても大切な要素ですが、私は「なぜ、この会社につとめているのか」「なぜ、今の仕事をしているのか」について考えました。
またお客様から見た自分の会社の価値を徹底的に考えていきました。
その結果、会社の強み・弱みを知ることになりました。

会社の強みはまさしくブランドです。
(株)東京ソワールであれば「レディースフォーマルウエアのトップメーカー」であるということです。 とてもシンプルでした。
そのつぎにミッシヨンステートメントを創りました。
企業理念と創業者が従業員に伝えてきた言葉をまとめた行動基準と企業ミッションをまとめて「ソワールフィロソフィ」というクレドカードを作成しました。 これは今も全社員が携帯し自分の仕事に活かしています。

次に情報の共有です。 会社への帰属意識を高めるには良い事も悪い事も共有することが大切です。お客様にとってはどの社員であっても会社の代表です。 「私しーらない」では通用しません。
また、人は情報を得ると好意的なりますが、自分だけ知らされていないと否定的な態度になります。 参画意識を高めるために情報共有化は大切です。

 ①ES従業員満足UP
 ②ミッッションステートメント
 ③情報共有

この三点を中心に、研修システムの変更・社内ポータルや社内報などを活用して浸透をしてきました。
これがCS推進第一期だったといえます。 この時期に社内のCSに賛同する人たちが部門を越えて集まり、意見交換なども活発に行いました。 その結果、社内のコミュニケーションがよくなり、問題が明確になってきました。
ミーティングのキーワードはいつも「お客様の立場に立って」でした。
お客様の立場になると今まで見えなかったことが見えてくるのです。 そうして「お客様相談室」もできました。

第二期推進期は、販売の現場のマネージメントでした。
一番お客様に近い存在の販売員の制度改定と研修によるモチベーションUPを徹底的に行いました。 そして第三期、これはお客様と直接コミュニケーションをとる事です。 ソワールカレッジを創り、フォーマルの文化をお客様と広く社会に対し発信を開始しました。
これはまだ始まったばかりです。
紙面の都合で非常に簡単に説明していますが、一つ一つ具体的な方法に興味のある方はご連絡下さればご紹介します。
「私が創る顧客満足」とは、自分のできることから少しずつ始めることだと思います。
自分が「お客様の立場で今の仕事を見直してみる」でもいいと思います。
その和が広かってCSが推進されていくのです。私はボトムアップのCSを推進したいと考えています。
会社にCSを推進するとき、経営者からのトップダウンで行われることも大切な要素ですが、ボトムアップで社員一人一人が本当にCSを理解しながら仕事の仕方を変えていくことができたら本当にすばらしい会社になると思います。
「なにもやらないより何かやる」「やらない理由をさがすよりやった後の成果を考える」自分の成長のために今よりもよい仕事をする。
それが「私が創る顧客満足」の行動基準です。
18. 最終回:21世紀企業の目的
皆さんが肌で感じているように、時代は超スピードで流れています。
私が顧客満足に出会ったころに比べてみると、お客様の認識も企業の態度も大きく変化しました。
企業の常識はお客さまの非常識となる事例も見受けられます。
特に最近は企業の法令遵守(コンプライアンス)・コーポレートガバナンス(企業統治)は企業の必然となり、その上で社会的責任(CSR)を実現する企業が評価をうけるようになってきました。
CSを大きく二つに分けると、品質管理の側面と顧客対応の側面があると思われます。
両方とも顧客が満足しているどうかを指針としてクォリティを高めていかなくてはなりません。
法律は最低限の決まりごとですから、法令遵守はあたりまえのこととして、ぜひとも、世の流れであるコンプライアンスもコーポレートガバナンスも、「顧客の視点」で「顧客のため」に行ってほしいと思います。
「私が創る顧客満足」を実現していけば、それらは当然のことであり、「守りの姿勢」ではなく、企業の強みとして活かしていくことができると考えます。
そのためには、原点にもどり「を」ではなくて「が」…お客様が満足しているかどうか…を考えることができる企業であるかどうかです。

「21世紀は心の時代」です。これからのお客様はもっと自由に、ご自身の個性を重視した生活を望んでいくことでしょう。 ですから、企業やお店はいつでも「今のお客様」に敏感である必要があります。
今のお客様を理解できないと未来のお客様はますますわからなくなります。 多様化するお客様のためにこれからは、「しくみを創ってそのとおり動かす」という仕事の仕方から、「お客様の声を聴きキモチを察し、サービス提供者の仕事の仕方を変えてお客様に満足をしていただく」という仕事に変化してきています。
企業が長期的継続的な利益の確保と維持を実現するためには、いつもお客様の声に敏感でなくてはならないのです。
そこで求められるのが、「人間力」です。
働く人がただ時間を費やしお金のために作業するのではなく、仕事に目的を持って楽しく仕事を行うこと、まさしく「仕事の質」が重要になってくると考えています。
どうか「自分の給料がもらえるのはお客様が商品・サービスを購入してくれているから」ということを忘れずに仕事をしていただきたいと思います。

21世紀企業の目的は「提供する製品・サービスはもちろん経営理念から接客態度まで含めて顧客の期待に応え、それを上回る満足を継続的に提供することにより顧客との信頼関係を築き上げ、それを維持することによって適正な利益を上げ社会に貢献する」(佐藤知恭)ことです。
私はこの21世紀企業の目的を自分の仕事の指針にしています。
今自分の仕事がどこまで進んでいるか?を常にチェックしています。
そして、こんな企業で仕事がしたいと願っています。

「私が創る顧客満足」は今回をもって連載を終了しますが私のCSはこれからも続いていきます。
皆様、長い間ありがとうございました。
皆様の所属する会社やお店が少しでもCSに近づき、自分の仕事の意味に気付いてくださればとても嬉しいです。 CSは一日にしてならず!がんばりましょう。

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